工房と建築家がつくり上げたインナーガレージのある住宅
Hさんご夫妻。ダイニングからキッチンを見たところ。
外部の建築家と工房の施工がコラボ、おたがいの得意分野を出しあった家。
工房が外部の建築家と組んで行った仕事を紹介したい。
建築家の豊田悟さんは京都で〈豊田空間デザイン室〉を主宰しており、テレビ番組「劇的ビフォーアフター」でも何度も取り上げられている。
施主のHさんは知り合いのキッチンコーディネーターから豊田さんを紹介され、初対面で会った瞬間に「ゼッタイこの先生にやってもらおう!」と決断した。
とはいうものの、現地は東京で建築事務所は京都、というのではちょっと施工に目が行き届かない。そこで豊田さんは、かつて2011年に一緒に仕事をしたことのある工房を、施工者としてHさんに紹介することにした。
工房の営業マンと会って、Hさんはここでも初対面で工房を承認した。
Hさんは「豊田さんの紹介なら安心というのもあったし、工房の社長が北海道出身で、東京の家は寒い、と断熱に力を入れておられることが印象的でした」と話す。
こうして設計=豊田空間デザイン室、施工=工房というコラボレーションによる家づくりが始まった。
豊田空間デザイン室が全体の設計を行い、そこに工房の女性建築士が連携し、細かい仕上げ材や設備を担当することになった。もちろん断熱については、工房の最も得意とするところである。
最高のチームワークでつくりあげた「帰りたくなる家」。

[1]半地下の、Hさんご自慢のシアタールーム。
[2]シアタールームからドアひとつ隣がガレージ。
門扉から外階段を上がると、そこが1階で、玄関とDK。2階に寝室、書斎、ゲストルーム、といった間取りとした。豊田さんが提出した模型のおかげで、間取りの検討は実にスムーズに進んだ。
施工に関しては、工房の経験がいかんなく発揮された。
半地下という構造上、基礎工事では隣地との境目の
土止めや防水処理など、細かい配慮が必要となった。
また、断熱のかなめともいえる小屋裏の断熱施工には、高性能36Kの断熱材を使用したが、36Kという
固い断熱材を母屋間に充填するのにも、経験がものをいった。
そういうさまざまな課題を着実にクリアして、設計開始から約1年で竣工を迎えた。
「すごいチームワークで、最高の結果を出してくれました。帰ってきたい家ができました」とHさん。
「また建てるとしたら、またこのチームでやってもらいたいですね」とも。
[3]寝室の隣がウォークイン・クローゼットで、夜中など、そこからもトイレへ直行できる。
[4]模型のおかげで、間取りはスムーズに決まった。
[5]Hさん夫妻と記念撮影。後列左から工房営業、設計の豊田さん、工房設計。
【スペック】
東京都杉並区 H様邸
2016年9月竣工
敷地面積 68.52m2(20.72坪)
建築面積 34.15m2(10.33坪)
床面積 地下 36.95m2(11.17坪)
1階 34.03m2(10.29坪)
2階 34.03m2(10.29坪)
延床面積 105.01m2(31.75坪)
設計 豊田空間デザイン室
施工 株式会社工房