高気密・高断熱を徹底的に追求した鉄筋コンクリート+外断熱の家。


東京都板橋区のN邸は、首都圏でも最高レベルの断熱性能をもつ住宅だといえる。ご主人が最もこだわったポイントが、まさにその高気密・高断熱。
とにかく勉強熱心で、さまざまな断熱法を調べているうちに「外断熱」と「工房」に行きついた。当初、ハウスメーカーの鉄骨造も候補にあったが、構造や部材などにさまざま束縛があり、結局、どんな構造でもどんな部材でも、設計だけでも施工だけでも、という工房の完全「自由設計」が、文句なく選ばれた。そして、担当設計士との話し合いの結果、耐久性の高い鉄筋コンクリート造(RC)と外断熱という断熱効果の高い理想的な組み合わせが採用されることになった。
「私自身、外断熱についてはずいぶん勉強したつもりでしたが、工房さんの話を聞くたび、つくづく自分は素人だったんだなあと思い知らされました」とご主人。
外断熱の効果を徹底追求したこの建物では、「熱橋」となって断熱を阻害するバルコニーも、思い切って排除した。「エアコンを使わなくてもいい家にしたかった」というご主人のご要望どおり、2013年の歴史的な猛暑にも、冷房はときどき「微風」を送るだけでよかった。

「家族みんなの気配が感じられる家に」
奥様の思いとアイデアが反映された家づくり。

奥様のアイデアによる家族用玄関のシューズイン多目的収納。脇には足も靴も洗える水場がある。一方のゲスト用玄関はいつも整理整頓されているので、急なお客様があっても大丈夫。

間取りと収納には奥様のアイデアが随所に活かされた。
「家族みんなの気配が感じられる家にしたい」というご要望どおり、ほとんど間仕切りのない大きな空間となった。
2階のリビング・ダイニングから3階の子供部屋は大きな吹き抜けでつながっている。これも、頑丈なRCならではの構造といえる。
入り口ドアを開けると、ゲスト用玄関の脇に家族用の玄関がある。家族用玄関の奥にはウォークインの収納スペース。中2、小6、小1と3人お子さんがいれば、玄関にはなにかとモノがあふれる。それを見越したスペースが、実に有効に機能している。
最近では、こういったツインの玄関が静かなブームになっているらしい。まさに奥様の先見の明といえる。
「私もけっこうこだわるほうですが、工房さんはみんなそれ以上で、こちらがアイデアを持っていっても、なかなかOKしてくれないんです。こちらが施主なのに(笑)」と奥様。照明やコンセントの位置ひとつ、ドアノブの形ひとつ、どんな細かいこともすべて双方が納得いくまで話し合って決めた。
だから「本当に自分たちで家づくりをした」という充実感があるのだという。

[上左]1階のシアタールーム。ご主人は趣味のギターを弾いたり映画をみたり、奥様と娘さんはピアノの稽古に、息子さんはゲームに、とマルチに楽しめる部屋。RCなので、遮音効果もあり少々の音は気にならない。
[上右]3階の子供部屋から吹き抜けで2階のリビングが見下ろせる。まさに「人の気配を感じられる」家。
[下左]西側窓は、ドイツ製の外付けブラインド「エーデルヴァレーマ」で、強烈な西陽を遮っている。電動式で台風などの強風のときは、センサーが感知して自動的に巻き上がる。サッシ性能にもこだわり、ほとんどの窓をブラインドインサッシとした。
[下右]外観。バルコニーなど「熱橋」となる出っ張りを排除して、外断熱効果を徹底追求した。

【スペック】
東京都板橋区 N様邸
2009年8月竣工/鉄筋コンクリート造/3階建て/専用住宅
敷地面積=131.43m2(39.75坪)
建築面積=67.07m2(20.28坪)
床面積=1階67.07m2/2階67.07m2/3階60.48m2
設計施工=株式会社工房