板橋区|木造2階建てのアトリエ付きの家

空振り三振だった1打席目

お客様は服飾デザイン会社の女性経営者。1階にタイル床のアトリエがある家をご希望されておりました。
弊社でキープランを描き、概算見積をご提出させていただいたものの、細かな感覚やイメージのご要望を短期間で設計に反映しきれず、残念ながらキャンセルになりました。

予期せぬ展開

それから数ヵ月後、建築家の豊田悟先生(豊田空間デザイン室)から突然ご連絡があり「板橋区のM様邸の計画で、施主様の希望で工房さんも見積コンペに加わってほしい」というのです。M様とは、ほかならぬ前述のお客様のことです。

再来したチャンス

このお客様は、過去に大手メーカーのリフォーム工事でひどい請求をされてトラブルになって以来、住宅の営業マンを信用されていませんでした。初めは名刺すら受け取ってもらえませんでしたが、細かな仕様を記載したお見積をお見せし、減額部分の検討プロセスを細かく説明させていただいたことで、私たちを信用をしていただくことができました。

2打席目で求めらたもの

数日後、横浜の豊田空間デザイン室で図面を見せてもらいました。1階には、スペインの素焼きのタイル床にミニキッチンの置かれたアトリエ。2階には家具工事でつくるオリジナルのカウンターキッチン、シェルフで仕切られたLDKと寝室、南傾斜で高くなっている天井には化粧梁がかかり、キッチン脇のフルオープンのガラス窓からバルコニーへ、と、さすが一流の建築家さんのプランは素敵なものでした。
空振り三振だった1打席目のあとの大事な2打席目で私たちに求められるのは、この素敵な図面を適正コストで施工してカタチにすることです。意匠を損なわないで、しかも建材や設備の減額案を効果的に提案させていただきました。幸い提案させていただいたVE(Value Engineering)案は豊田先生にもお客様にも柔軟に受け入れていただき、東京北部に強い工務店ということもあり、施工は私たちでやらせていただくことに決まりました。

打合せはすべて現場で

服飾デザイナーとしてのお客様の眼は、家のイメージに対しても実に的確で繊細でした。サンプル色ひとつ選ぶにも、その日の天気、屋内なのか屋外なのかなど、完成時のイメージへの細やかなこだわりがありました。
私たちとしては、その細やかさにお応えするために、打合せはすべて現場で重ねさせていただきました。お客様にご足労いただいて、材木市場や銘木店にご案内し、木材を探し回ったこともありました。

 

 

 

近所でも評判の素敵な木造住宅

2打席目のチャンスをくださったお客様、そして私たちに声をかけてくれた設計の豊田先生、そんなみなさんとのものづくり関するコミュニケーションの楽しさを実感しながら、さらに、それぞれの道のプロの方々から大いに刺激をいただきながら、いつの間にか近所でも評判の素敵な木造住宅が建っていました。

 

 

所在地:東京都板橋区
竣工:2011年5月
用途・規模・構造:専用住宅・木造・地上2階建
断熱:内断熱/充填断熱(セルロースファイバー)
敷地面積、建築面積:敷地面積 116.91㎡、建築面積 67.20㎡
延床面積、各階面積:延床面積 125.70㎡
設計:有限会社豊田空間デザイン室

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