家族の共有スペースを大切にした暮らしやすい家づくり。

Kさんご夫婦とその2人の娘さん。
「1階と3階で子供と話をして、それを2階で主人が聞いていたり、コミュニケーションのよすぎる家です。」と奥様。

設計は、小嶋良一氏の「こぢこぢ一級建築士事務所」が担当した。工房とこれまでもいろいろと仕事をやってきているパートナーである。当初Kさんご夫妻は、とにかく床面積を広くとりたいと考えていた。たとえば広い寝室があって、2人の娘さんにもそれぞれに個室があって、ルーフバルコニーがあって、ベランダも広めに、と夢を広げていた。
しかし、小嶋氏の出してきた図面を見ると、家の真ん中に吹き抜けがあって、それが2階LDKと、3階とをつないでいた。まったく考えてもいない間取りだった。はっきりいって、戸惑った。「若い建築士さんだし、最初はこちらもなんとなく半信半疑でした。でも、何回も話を聞いているうちに心が動かされていったんです」と奥様。小嶋氏と工房の提案は、家族の共有スペースを大切にした家づくりだった。寝室は最小限にして、家族みんなが自然とつながるような家づくりを、プロの立場から時間をかけて説得したのだった。いまはこの間取り以外考えられないと、住んでみて実感した。
「120点です。この空間はストレスがなくていいですね。基本設計はもちろん、照明など細かいところまでアドバイスしてくれて、ありがたかった」とご主人。

キッチンの食器棚は、食器が見えないように、木肌ですっきりとまとめた。

「建築条件」のついた土地の解決と、ファイナンシャル・プランナーと。

2011年4月の竣工。建築中に東日本大震災があった。思うように材料が入らないこともあったが、そのぶん「思い入れのある家になりました」と施主のKさん。
土地探しから始めて、ほぼ1年後にこの土地を見つけた。2人の娘さんがいて、家族との外出に車は欠かせないが、月3~4万円もする駐車代を払うぐらいなら、自前の駐車スペースを敷地内に確保しておきたい。さらに、接地道路も車の出し入れがラクにできる広さがほしい。そんな希望にかなった土地だったがしかし、ここには「建築条件」がついていた。そんなとき、同時並行で当時赤羽にあった工房のモデルハウスを訪ね、一目で気に入った。そして工房の営業マンに土地の「建築条件」のことを相談した。当初よりも土地価格は多少高くなったもののトラブルなく「建築条件」を外すことができた。
予算のことで多少不安があったが、これも信用できるファイナンシャル・プランナーを紹介してもらい、安心して進めることができた。そのプランナーには、その後もいろいろと相談に乗ってもらっている。

3階から2階ダイニングを見下ろす。床は幅広のオーク無垢のフローリング。テーブルも色調を合わせた。

2階リビングの大窓からは表の通りと池袋方面が見渡せる。

リビングの一部は畳敷き。ここに娘さんのお雛様を飾る。ご主人はごろ寝をする。

吹き抜けの上には、2つの天窓。1つは電動開閉式で、開けると風が抜ける。

外観は極めてシンプル。ガレージへは室内からも行けるようになっている。

鉄製の階段を3階から見た。白い壁に白い階段が溶け込んでいる。

建築事例>>
【スペック】
東京都板橋区 K様邸
2011年4月竣工
木造2×4(一部在来)/3階建て/専用住宅
敷地面積=59.99m2(18.1坪)
建築面積=41.85m2(12.6坪)
床面積=1階27.73m2(8.4坪) 2階38.81m2(11.7坪) 3階34.82m2(10.5坪)
延床面積=101.36m2(30.7坪)