外断熱工法のいろいろ

「外断熱」は、「内断熱」より工法の種類が多いのをご存知でしょうか。
外断熱には実に様々な施工の方法が存在します。私たちが推奨する外断熱は一工法に限るものでなく、外壁の意匠や性能やコストにより、その提案はいくつもの選択肢があります。外断熱工法に早い時期に注目してきた私たち工房では、長年の実績やノウハウの蓄積により、様々な提案ができるようにしております。外断熱には「湿式工法」と「乾式工法」の2つがあり、各工法にはさらに様々な手法が存在します。

湿式外断熱工法

コンクリート躯体の上に、外断熱材を直に張る方法を「湿式」の外断熱工法と呼びます。湿式の外断熱には、湿気を通すものから通さないもの、左官で仕上るもの、タイル張り施工ができるもの、先に型枠の中に打ち込むもの後から接着張りするもの、仕上げ材と一体化しているものなど実に様々な断熱工法が存在します。

コンクリート躯体に後から断熱材を張りつける湿式外断熱の施工例。
断熱材の継ぎ目に強化メッシュを伏せ込み、仕上げ面のクラックを防止。断熱材の厚みは、種類や仕上げによってコストもまちまち。
ご要望に応じて提案をします。

 

乾式外断熱工法

外断熱材と仕上げ材の間に通気層を設ける工法を乾式工法といいます。この方法では、外断熱で外壁を板張りにしたい時や金属サイディングを採用したい時などに採用することが多い施工方法です。一般的に乾式工法は湿式よりも金物コストや施工手間がかかるため、外断熱工法の中でもコストが上がる傾向にあります。

東邦レオの「サンバント工法」を施工している様子。金物は「ザム」という特殊なメッキを施した金物を採用し、断熱材は撥水性のある厚い高性能グラスウールを採用することで、性能を高く保ちながらコストを抑える工夫をした工法です。乾式工法は、外壁の仕上げ面が湿式工法よりさらに厚くなり、狭小地より大きな計画地に向いています。

 

 

「外断熱」と「外張り断熱」は、まったく別のもの

「外断熱」と似た言葉に「外張り断熱」があります。「外断熱」と「外張り断熱」は異なります。
「外断熱」とは、鉄筋コンクリートなどの構造躯体が蓄熱層となり、構造の外側に断熱材を施工する工法を言います。それに対し「外張り断熱」とは、「木造」あるいは「鉄骨造」などの構造体、つまり蓄熱効果のない建物の外側に断熱材を施工するものです。

「外断熱」と「外張り断熱」では、断熱材を張る面が同じで言葉も似ていますが、構造体の「蓄熱性」の観点で捉えれば、「RC外断熱工法」だけが、独特な考え方に根ざした断熱手法であると言えます。

「外断熱工法」で回避できないデメリットのひとつに「建築コストの増額」があります。数ある外断熱工法からどの工法を選ぶかで増額の幅もまちまちですが、外断熱を検討する上では、通常の「内断熱」より、コストの増額があることを見越して計画していく必要があります。家の広さを優先するのか、居住環境を重視するのか、コストを重視するのか、家づくりの方針を計画段階から事前に優先順位を整理しましょう。
建築後の維持管理面では、住まいの長寿命化につながる外断熱が優れています。イニシャルコストのみで比較せず、数十年先も資産価値を落とさず堅牢さと快適さを保てる外断熱工法のメリットが、増額のデメリットを上回ると考えられるお客様にRC外断熱工法をおすすめします。

改善されてきたデメリット

割増コスト以外のデメリットには、例えば、冷暖房の立ち上がり、外装材の制限、貰い火のリスク、軽微なヒートブリッジなどがあります。暖房の立ち上がりは、冷暖房の緩い連続運転と組み合わせることで躯体輻射をつくり、外断熱ならではの快適さを生むようにします。
外装材の制限は各メーカー努力によって、内断熱に比べ遜色ないレベルまで改善されました。貰い火のリスクに関しては、炭酸カルシウムが主成分の湿式外断熱材やグラスウールを使用した乾式工法を使用すればリスクは回避できます。バルコニーやパラペットのヒートブリッジは、もともと内断熱よりも軽微なものですが、「返し」や「立ち上がり部」に断熱補強をすることで改善します。
このように、「外断熱」のデメリットは、一つ一つ個別に改善することで、より優れたものに高めることができます。

狭小地のRC外断熱の計画の注意点

木造に比べてRC造の壁は厚くなります。木造の4寸角の柱で構造壁が12センチであるのに、RCの壁厚は15~18センチにもなります。さらに外断熱では、その壁の外側に3.5~7センチ厚の断熱材が張られます。通気層を設ける乾式工法を採用すれば、さらに外断熱に関わる部位は厚くなります。仮に、狭小地でRC外断熱工法を採用する場合、敷地境界線から民法上50センチ離れ、外断熱材の厚みや構造壁の厚みによって、木造よりも屋内の空間が狭くなることは知っておく必要があります。
例えば、狭小地で部屋数を多く確保する必要がある方には不向きな場合もあります。